古くて小さな製茶機械たち

縁あって我が家にやって来た製茶機械たちを紹介します。
二代目の妻の友人のお父さん(となりの春野町の茶農家)が色々とお世話してくださって、お茶の製造をやむを得ない理由で辞めてしまったお宅から譲り受けてきました。昔はどんなお茶を作っていたのだろうかと思いを馳せながら、大切に使わせてもらっています。



宮村の6寸の蒸機と、平野の縦型ボイラー。写真のボイラーは今年(2020年)の新茶前に壊れたので同じタイプのものに買い替えました。一家5人の給付金はきれいにピカピカのボイラーになりました。壊れたボイラーは鈴木茶苑の入り口に目印になるように置いてあります。
6寸の蒸機は廃番です。6寸とは丸胴の直径(約18センチ)で、径が小さいほど処理能力は低いので廃れましたが、余分な蒸し露が付きにくく、品質的には優れていると考えています。


高林の粗揉機。現代の製茶機は形状を重視し、細くなる様に強く揉みすぎる傾向だと思います。元祖粗揉機メーカーである高林のこの機体は、お茶を揉み過ぎない絶妙な構造で、柔らかく揉みこみたいうちのお茶と相性が良いみたいです。

 

揉捻はカワサキの35K(手前)と6貫機(後ろの茶色いの)。カワサキをメインに使っていて、6貫機は小ロットの釜炒りなどをちょっと揉捻したい時に使っています。このサイズの揉捻機は紅茶作りブームの昨今非常に人気があります。

 

テラダ製6貫機の精揉機。「てらだ」と平仮名で書かれていて可愛いです。もう一台カワサキの35K機があって、そっちをメインに使っています。以前二代目が勤めていた茶工場の機械がテラダだったので、テラダ使いの二代目はカワサキの精揉機と仲良くなるまで時間がかかりましたが、だいぶ仲睦まじくなれたようです。「てらだ」はかなりガタがきていますが、古くて貴重なのでほぼオブジェです。
6貫機も35kの精揉機も今では作っていません。大量生産が重視された現代の製茶場面では、35kライン自体が貴重になりつつあります。製茶機メーカーも販売数の見込めない小型機械は注力出来ないのが現状です。
品質面では諸説あるのですが、一般には小型であるほど手揉みに近いとされています。
何よりも一軒一軒の農家が、昔の様に個々でお茶を作る事によって個性豊かなお茶を皆様に提案出来るのではないか。そう考えています。
前例と言うと大げさかもしれませんが、意欲がある農家が自分で製茶したいと、そう思ってもらいたいですし、実現出来る事をしめせれば嬉しいと考えています。

 

2020年06月10日